Pergear社様から超広角単焦点レンズ「PERGEAR 7.5mm f2.8 Fisheye」のレビュー依頼をいただきました。
超広角レンズ、いわゆる魚眼レンズといわれるジャンルのレンズは、被写体が大きく歪むため、おもしろ画像を撮るお遊びレンズと言った印象が強いのではないでしょうか。
画像の歪みが出ない範囲の広角レンズは、風景や室内の狭い空間での撮影などで便利に使えますが、画像が歪むほどの広角レンズは、「おもしろ画像以外では、とくに使い所がないレンズ」と言った印象ですよね。
実際に使ってみると、これが意外といいんです。
歪んだおもしろ画像も良いのですが、フィッシュアイレンズならではの特性を生かした使い所を紹介します。
もくじ
PERGEAR 7.5mm F2.8 Fisheye
超広角レンズは、標準レンズや広角、望遠レンズとは違い、それほど需要が高くはないためか、価格が高いものばかりです。そんななか PERGEAR 7.5mm f2.8 Fisheye は、1万円代前半の格安価格で手に入れることができます。
超広角の魚眼レンズを試して見るには、ちょうどよい入門レンズです。
本体は筐体がプラスチックではなくスチール製のため、見た目のサイズとは裏腹にずっしりと重量があります。プラスチックではないため安っぽい感じはありません。
ピントリング、絞りリングともに適度な抵抗感があり、滑らかな操作感があります。
絞りリングはカチカチといったクリック感のない、シームレスタイプです。スーッと動きます。
完全マニュアルレンズなので電子接点はありません。
魚眼レンズ最大の特徴でもある、突き出した前玉。フードと一体型です。
フードとまるごと一緒にレンズを覆う、専用アルミ製レンズカバーが付属します。
作画レビュー
コスパの良い超広角レンズ「PERGEAR 7.5mm f2.8 Fisheye」の作画例を紹介します。
魚眼レンズ特有の歪みを利用した写真。最もよく見る真下から上を見上げる構図です。
橋などに人工物でも歪みを利用して面白い絵になります。
魚眼レンズの「端に行くほど歪みが大きくなる」という特性は、逆に言うと中心付近は歪みがありません。二分割構図で水平線を真ん中に持ってくると、それほど強烈には歪みません。
真ん中の水平線を少し上下にずらすと、一気に歪みが大きくなります。
日の丸構図で被写体を中心に持ってくると、被写体は歪まず周りだけ円を描くようにボケます。被写体への視線誘導にもなるので、物撮りには意外と良いかもしれません。
魚眼レンズは逆光で撮るとゴーストやフレアが出やすいと聞いていましたが、思っていたほどには出ませんでした。コーディングもしっかりされているようです。
最短撮影距離12cmまで寄れるので、ちょっとしたマクロ的な使い方もできます。描画性能も悪くありません思っていた以上の解像感がありました。
魚眼レンズの使いどころ
実際にいろいろな場面で撮影をしてみて、こういう絵がほしいときに使えそうだと思ったポイントを紹介します。
被写体をダイナミックに表現する
中心から外側に向かって歪みが出る特性を利用して、ダイナミックな表現に使えます。
標準50mmレンズで撮影した写真と比べると、全然違います。
被写体を目立たせる視線誘導
縦の二分割構図でも真中付近の歪みは少ないので、まっすぐ縦に伸びる被写体では、遠近感が強調されます。開放f2.8のボケ味を利用して、遠近感を強調した三角構図風の中心だけにピントを合わせるような表現もできます。
被写体にぐっと寄って撮影できるので、ブツ撮りなどので被写体を目立たせる視線誘導が可能になります。思いのほか解像感も良いので、マクロ的な使い方にも向いています。
メリットとデメリット
「PERGEAR 7.5mm f2.8 Fisheye」を使ってみて感じたメリットとデメリットを紹介します。
良いなと感じたメリットは以下の通り。
- コスパが良い
- マニュアルなのにピント合わせが簡単
超広角レンズは、性能のわりに需要の少ないためか高価になりがちなイメージですが、PERGEAR 7.5mm f2.8 Fisheyeは1万円ちょっととかなり低価格な製品です。実際に使ってみた性能の良さを考えると、かなりコストパフォーマンスに優れたレンズと言えます。
完全マニュアルレンズなので自分で毎回ピントを合わせる必要がありますが、超広角の焦点距離は少し離れるだけで無限遠に達します。なので風景撮影は、無限遠に合わせておけば全体にピントが合ってしまいます。
近距離を撮影するときは最短撮影距離の12cmまでよって撮影すれば良いので、ピントリングを細かく調整する場面はとても少ないです。
- レンズカバーがアルミ製
レンズカバーがアルミ製なので、かぶせる際に行願特有の飛び出たレンズにカツンと当たりそうです。レンズにいつか傷を付けてしまいそうで心配になります。当たらないよう注意が必要です。
まとめ
超広角の魚眼レンズは、使い所が難しく価格も高額なものが多いため、なかなか手にする機会もないと思います。
実際に使ってみると、いわゆるおもしろ画像的な奇抜な写真だけではなく、被写体の迫力を増す表現や、マクロ的な物撮りの視線誘導など、思っていた以上に使えるポイントがあります。
PERGEAR 7.5mm f2.8 Fisheyeは、価格が非常に安価であるにもかかわらず、フレア防止のコーティングもしっかりとされていて、レンズとして必要十分な性能が備わっています。
魚眼レンズ特有の表現を楽しむ入門レンズとしては最適な、コストパフォーマンスに優れた製品です。