この記事では、ニコンのAi非対応オールドレンズをDIYで対応させる、Ai化改造方法を紹介します。
フィルム時代から長きにわたって受け継がれてきたニコンのFマウント。Fマウントの普遍性はニコンの数ある魅力の一つです。
しかし、カメラに露出計が搭載されるようになると、その絞り値をカメラに伝えるための機構が度々変更されるようになりました。その結果、おなじFマウントでありながらAi方式前のレンズが現代のFマウントに装着できなくなる自体が発生しました。
Ai方式非対応のレンズはもう使えないのでしょうか。いえ、実はAi非対応のレンズでも現代のデジタル一眼機で使えるようにする方法があります。
この記事では、ニコンのAi非対応オールドレンズをAi化する改造方法を紹介します。
もくじ
ニッコールAiレンズ
ニコンのFマウントカメラに取り付けることのできるニッコールレンズは、1977年にAi化されました。
初期のカメラのように露出計が搭載されていない時代には必要ありませんでしたが、カメラ本体に露出計が搭載されるようになって、レンズの絞り値をカメラ側に伝えるための機構が必要になりました。
初期の機構はカニ爪方式と呼ばれ、ニューニッコールシリーズのレンズに見られる文字通りカニの爪のような金具でカメラ側の突起を操作する方式でした。
その後1977年にAi方式に変更されたのですが、レンズの絞り値をカメラ側に伝える突起の位置と形状が変更され、同じFマウントでありながら旧来のAi非対応レンズとの互換性がなくなってしまいました。
この問題はニコンでも対策が取られ、旧タイプのレンズをニコンに持ち込みAi化改造を行うサービスが1997年まで行われていました。
このサービスは現在終了しており、Ai非対応レンズをAi化するには、自分で改造するしかありません。
フィルム時代の旧レンズにも、銘玉と呼ばれる質の高いレンズがあります。Ai非対応の場合、価格も安く手に入りますので、自分で改造できればかなりコストパフォーマンスの高い入手法となります。
Nikkor S.C. Auto 50mm f1.4のAi化
1970年代前半に発売されたニコンの王道オールド標準レンズと言われる「Nikkor S.C. Auto 50mm f1.4」をAi化改造していきます。
まずはマウントを外します。マウントを止めているネジを4箇所外します。赤丸の箇所は、決して外してはいけません。
バネを固定するためのネジですので、外す必要はありません。
4箇所のネジを外すとマウントを取り外すことができます。マウントを取り外すとこのような状態になります。
絞りリングを固定する側面のネジを外します。絞りリングの固定ネジはこの1箇所です。
絞りリングを取り外し、カニ爪を取り外します。
絞りの開放値によって削る位置が変わってきます。各開放値ごとの対応位置は、このようになります。
「Nikkor S.C. Auto 50mm f1.4」は1.4が開放値ですので、絞りリングの目盛り「8」のちょうど真ん中辺りから削り始めます。
削る長さは、およそ4cm程度です。レンズ側に絞りリング固定ネジの逃し穴があります。この長さを目安にすると良いでしょう。
削る深さはカメラ側の突起を参考に、およそ1.0〜1.5mm程度でOKです。
まずは位置を間違えないように両端から削り始めると良いでしょう。
削る工具は、金属用のヤスリを使いました。
両端が削れたら中間を平らになるように削っていきます。
最終的に完了するとこのようになります。かろうじてカニ爪取り付け用のネジ穴が残っています。
加工した絞りリングとマウントをもとに戻し完成です。
Ai非対応のレンズを取り付けることができないNikon D7000に、Ai改造後のNikkor S.C. Auto 50mm f1.4を取り付けてみました。
カニ爪も元通りに取り付けることができました。削った部分に被っていますが、ちょうどカメラ側の突起がカニ爪のベース下に潜り込むように入り込み、接触を回避できました。
カメラによっては突起と接触して、カニ爪が取り付けできない場合があります。現代のデジカメではまず使うことはないので、取り付けなくても問題ありません。
まとめ
ニコンFマウントの魅力は、オールドレンズが使える普遍性にあります。最近はZマウントに変わってしまいましたが、Fマウントの魅力もまだまだ十分にあると思います。
Aiに改造する方法を知っておけば、ニコンならではのオールドレンズを楽しむ幅がさらに広がります。価格もお手頃で入手できますので、さらなる沼にハマっていきましょう。