ハイドロカルチャーの必需品!『イオン交換樹脂栄養剤』と『根腐れ防止剤』の違いと特徴

この記事では、観葉植物の室内専用育成方法ハイドロカルチャー(水耕栽培)での育成では必需品と言える「イオン交換樹脂栄養剤」と「根腐れ防止剤」について解説します。
室内で土を使わずに植物を育成できるハイドロカルチャーには、土の代わりに専用の用土を使います。室内用途ということで衛生的な専用用土は、土のように微生物が繁殖しないため植物から出る老廃物を分解出来ません。
水質を浄化・安定させるために「イオン交換樹脂栄養剤」や「根腐れ防止剤」を入れておく必要があります。
植物を育てていると「耳にしたことはあるけど、効能や違いがよくわからない」「これって必ず入れる必要があるの?」と疑問に思うことはありませんか?
今回は「イオン交換樹脂栄養剤」と「根腐れ防止剤」の効果と違いについて解説します。
イオン交換樹脂栄養剤とは?
イオン交換樹脂栄養剤とは、イオン交換樹脂に栄養剤(肥料)を付加したイクラのような小さなゲル状の製品です。
鉢の中に排出された老廃物はマイナスやプラスなどの電荷を帯びています。イオン交換樹脂は自身が持っているイオン分子を水中の老廃物とイオン交換することで、老廃物を分解します。
植物によって老廃物は様々ですが、ある植物は周囲にほかの植物が生育するのを抑える物質を出すものもあります。微生物の繁殖しないハイドロカルチャーでは老廃物が分解されませんので、溜まった老廃物で自家中毒を起こし育成が阻害されます。

また、イオン交換することでph値が一定に保たれる効果もあります。
植物は栄養素を土の中から吸収するために根酸という有機酸を分泌します。根の周囲を根酸によって酸性化し、そのままでは取り込めない鉄分などを溶かして吸収しやすくします。
この根酸も微生物のいないハイドロカルチャーでは、溜まっていく一方です。水が酸性に傾くことになります。イオン交換で電荷の偏りをなくし、ph値を一定に保つことで植物の根を守る効果があります。

イオン交換樹脂の効果を持続的に受けるためには、効果が切れた段階で鉢の表面に上から適量ふりかけます。粒が小さいので水やりのたびに用土の隙間に入り込み、効果を発揮します。
根腐れ防止剤とは?
根腐れ防止剤とは、水中の老廃物を吸収することで水質を浄化し、植物の根を守る製品です。
ハイドロカルチャーで使われる根腐れ防止剤として、有名なものは2つあります。
- ゼオライト
- ミリオンA
ゼオライト
ゼオライトは、沸石とも呼ばれる含水アルミノ珪酸塩鉱物で、微細な空洞を数多く持った多孔質構造により吸着機能、イオン交換機能などの性質を持っています。
ゼオライトは加熱すると内部の結晶水を放出する特性をもち、その様子が「沸き立つ石」にみえることからギリシャ語の「沸騰(Zeo)する石(Lite)」という意味を持つ「ゼオライト」と名付けられました。
ハイドロカルチャーで使われるゼオライトは、天然ゼオライトを加熱して結晶水を蒸発させた「焼成ゼオライト」が使われます。結晶水が蒸発した隙間が多数できることで多孔質化させたものです。
そのオングストローム(100億分の1m)という極微少な穴に不純物を吸着し水質を浄化します。
ミリオンA
ミリオンAは、天然の粘土鉱物「珪酸塩白土」を大粒に砕いたものです。
ゼオライトと同じく吸着性に優れ水質を浄化する作用のほか、緩衝能(酸やアルカリの作用を和らげる力)を有しており、水のphを自身のph6.0という植物が栄養を最も吸収しやすい弱酸性に維持します。
また、珪酸塩白土は多くのミネラル分を含んでいるため、植物を植物の細胞を丈夫にする作用もあります。

天然鉱石を使用しているミリオンAの有効期限は不明ですが、私が実際に使用した経験からおよそ3年程度と言った印象です。
もちろん水やりの頻度や育てている植物の大きさ・特性などで変わってくると思いますが、効果が切れてくると植物の負担が増えるのか徐々に成長スピードが落ちてくるように感じます。
イオン交換樹脂栄養剤と根腐れ防止剤の違い
それぞれ老廃物の除去とミネラル分の補給ができますが、その最大の違いは寿命です。イオン交換樹脂栄養剤はおよそ3ヶ月程度で効果がなくなりますが、ゼオライトやミリオンAは長期間効果が持続します。
イオン交換によって老廃物を分解するイオン交換樹脂は、自身の持つイオンが老廃物のイオンとすべて入れ替わると、効果がなくなります。イオン交換でもとに戻す方法もありますが、材料を用意する費用と手間を考えると現実的ではありません。
厳密にはゼオライトやミリオンAもイオン交換を行って老廃物を吸着しているのですが、効果は緩やかに発揮されます。イオン交換樹脂は絶大家効果を発揮する代わりに、有効期限が短くなっています。

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