ハイドロカルチャーで育てる観葉植物の夏越し対策3選!特有の問題とその解決方法
この記事では、ハイドロカルチャーで育てる観葉植物ならではの、夏に起こりやすいトラブルとその解決方法を紹介します。
観葉植物は熱帯のイメージが強いためか、冬越しを気にする方は多いのですが、夏越しはあまり気にされることはないと思います。しかし日本の昨今の高温多湿の気候は、植物たちにとっても過酷です。
特に室内で育てるハイドロカルチャーは、その育成方法特有の問題と室内ならではの問題が大きく影響します。
観葉植物の一般的な夏越し対策と、ハイドロカルチャーならではの問題を3つ紹介し、対処法を解説します。
ハイドロカルチャーの夏に起こる問題点
熱帯で育つ印象の強い観葉植物ですが、じつは暑さにそれほど強くない植物も多く存在します。気温が高い地域の植物でも、自然界では風が吹き抜ける場所や日陰ができる場所などを選んで自生しています。
昼間仕事などで無人になるお部屋では、当然エアコンも停止し窓も締め切られています。そんな状態のお部屋の気温は40度以上になります。風のない淀んだ空気と高温は、植物にとって最も苦痛な環境です。一般的な観葉植物の育成適温は、およそ25度〜37度程度です。40度を超えると成長を止めてしまいます。
特にハイドロカルチャーは、透明ポットに水を貯める育成方法ですので、温度の影響を受けやすい傾向にあります。土植えの場合は緩衝能と言って、鉢の内部の湿度・温度を一定に保とうとする働きがありますが、ハイドロカルチャーは水ですのでかんたんに温度が変化してしまいます。
対策として扇風機やサーキュレーターなどで空気を循環させ、擬似的なそよ風を作ってあげましょう。また窓からの直射日光を和らげ、適度な光のみを通すような工夫を施し、気温の上昇を抑えるのも効果的です。
さらにハイドロカルチャーで育てる観葉植物には、土植えにはない特有の問題がいくつかあります。
問題点 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
①葉が黄色く枯れる | 水切れ・高温で水がお湯になる | 水やりのタイミングを変える |
②ポット内に藻が発生する | 強すぎる光がポットにあたっている | 鉢カバーなどで光を遮る |
③害虫が発生する | 水腐れ・根腐れ・藻の繁殖 | 水やりのタイミングを変える・植え替え |
どれも透明ポットを使うことが多く、常にポット内に水が溜まっているハイドロカルチャーならではのトラブルです。次章でそれぞれ対策方法を解説していきます。
ハイドロカルチャーの夏越し対策
土植えでは見られないハイドロカルチャー特有の問題と解決方法を解説していきます。
①葉が黄色く枯れる
葉が黄色く枯れたようになる原因は、おもに2つあります。水不足が原因で起こるものと根腐れによる枯れ込みです。
水切れと根腐れの判別方法は?
植物によって違いはありますが、一般的な目安としてつぎのように判断できます。
- 外側の葉先から枯れる 水切れ
- 根本に近い幹側から黄色く枯れる 根腐れ
水切れ
水切れが原因の場合は、単純に水が不足しているため、水を与える量とタイミングを適切なものにすることで対策できます。
枯れや萎れるなどの症状が顕著に出ている場合は、次のように対処します。
水切れ時の対処法
- 水を適量与える
与える量は適量です。決して多めに与えてはいけません。枯れや萎れなどの症状がひどいときは、植物も弱っているので吸い上げが弱くなっています。
弱っているとつい多めに与えたくなってしまいますが、夏場は吸いきれない水が傷みやすくなっています。
適量与えて様子を見ながら、必要であればこまめに追加するようにしてください。 - 日陰に移動する
窓際などの明るいところにおいてある場合は、部屋の奥に移動します。
光が強いと光合成など細胞が反応しています。日陰に移動して休ませる必要があります。
根腐れ
根腐れの場合は、いくつか原因が考えられます。
- 水の与えすぎによる水腐れ
- 高温で水がお湯になる
- 藻などの不純物によって根の活動が阻害される
夏場は水の減りが早いものです。つられて大量に与えたりまだ前の水がなくなっていないのに継ぎ足すように頻繁に与えると、酸素不足になって根腐れが発生します。
「植物は二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すから酸素はなくても良いでしょ」と勘違いされがちですが、光合成は葉っぱで行うものです。根っこの成長には酸素が必要です。
夏場の水やりは、一度に大量の水を与えるのではなく、適量(鉢底から水位1/5〜1/3程度)の水をこまめに回数を多くして調整します。
窓際など日光が当たりやすい場所におかれた植物に大量に水を与えてしまうと、夏場の高温で水がお湯になることも考えられます。
本来植物の根っこ部分は大地に埋まっていますので、日光の届かない場所です。外気温が高くても根っこの部分がひんやりと冷たい地中にあることで、植物は温度調節しています。水やりを夕方以降に行うことで、水の温度上昇を防ぐことができます。
②ポット内に藻が発生する
透明な容器を使うハイドロカルチャーは、ポットの中に光が届く特殊な環境です。そのため光の強い夏場は特に藻が発生しやすくなります。窓際など光が多くあたる場所に置くときには、日よけの対策が必要です。
- 見た目が悪い
- 植物の成長が遅くなる
- 水が傷みやすい
藻は透明ポットの場合、光が当たりやすいポットの外周部分に発生します。見た目ですぐわかってしまうので、清潔感のあるはずのハイドロカルチャーなのに汚い印象を与えてしまいます。
藻も植物の一種ですので、観葉植物に与えたはずの肥料などの栄養素が横取りされてしまいます。さらに藻が繁殖すると観葉植物の根に絡みつき栄養素の吸収の邪魔をするようになります。
藻が発生したまま長期間放置するといずれ藻が枯れてしまいますが、ポット内で水に浸かった状態ですので腐りはじめます。その結果、水が傷み異臭が発生したり水腐れが原因で根腐れが起こってしまいます。
藻の発生はポット内に光が当たることが原因ですので、鉢カバーなどで光が当たらないようにすることで藻の発生を抑えることができます。
藻が発生してしまった場合には、極初期であれば鉢カバーなどで光を完全に遮断してあげることで消滅します。その際には、ポットの側面だけでなく上部の表面部分も光が当たらないように、完全に覆ってあげる必要があります。
藻の発生が進行してしまい遮光しても消滅しないようになると、植え替えるしか方法がありません。
③害虫が発生する
ハイドロカルチャーは土植えとは違い、害虫が発生しにくい育成方法です。それでも水が傷んで異臭を放つようになると、極小の蠅のような害虫が発生することがあります。人間には感じないほどの僅かな臭いでも寄ってきますので、気づかないうちにポット内に卵を生んで繁殖し始めます。
害虫が寄ってくる原因は水の傷みなどの異臭ですので、対策方法としてはこれまでに紹介した以下の方法が有効です。
- 水やりは適量をこまめに回数を多く。夕方以降に与える。
- ポット部分を遮光し、「お湯になる」や「藻が発生する」現象を予防する。
万が一害虫が発生してしまった場合の対処法は、殺虫剤を使います。キンチョールなどの一般的なスプレー式の殺虫剤で十分です。
こちらの記事で詳しく解説しています
まとめ
ハイドロカルチャーならではの夏のトラブルと対処方法を紹介しました。
すべての予防法をまとめると以下のようになります。
- 水やり
適量をこまめに回数を多く与える。
夕方以降に与える。 - 遮 光
カーテンなどで窓からの直射日光を避け、温度対策をする。
鉢カバーなどでポット内に光が入らないようにする。 - 風通し
扇風機やサーキュレーターなどで空気が停滞しないようにする。
それほど神経質になる必要はありませんが、放置をせずきちんと世話をしてあげれば答えてくれます。一度花を咲かせた観葉植物は、毎年花を咲かせるようになるので世話も楽しくなります。
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